「陰口」の代わりに「陰褒め」

目次

給湯室での会話

9月。暦の上では秋とはいえ、まだまだ暑い日もあります。
少々恥ずかしいお話ですが、私はこの夏、生まれて初めて熱中症にかかってしまいました。
エアコンをつけるのを忘れるくらい仕事に熱中していて、気づいたら熱中症だったという次第です。
幸い大事には至りませんでしたが、みなさんも残暑にはご注意ください。

さて、職場で温度が上がる場所の一つに給湯室があります。
給湯室での会話と言うと、どんなことをイメージするでしょうか?
雑談、ひそひそ話、うわさ話・・・
色々な会話を想像されるかもしれませんが、「陰口」を思いついた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も聖人君子ではありませんので「陰口はいけません」とお説教のようなことを言うつもりはありません。
実際に、陰口は盛り上がってしまうこともありますし、言うとすっきりする、という側面があるのも事実です。

でも、陰口が仕事にプラスになることは、ほとんどありません。
ちょっとした一言に尾ひれが付き、背びれが付き、陰口を言った人のマイナスに作用してしまいます。
そこで、陰口の代わりにご提案したいのが「陰褒め」です。
自分の知らないところで、褒めてくれる人がいる、それを嫌がる人はあまりいませんね。
「○○課長が、あなたのこと感心していたよ」
「○○さんがいれてくれたお茶はおいしいんだってね。この前、聞いたよ」。
そんな言葉がうれしかったという経験は誰しもあるのではないでしょうか。

仕事にプラスになる「陰褒め」

人を笑顔にしてくれる「陰褒め」。
3つのステップで身につけてみましょう。

ステップ1は「言ってみる」です。
普段から言い慣れていないと、なかなか言いにくいものです。
ぎこちない言い方になってしまったり、「どうしたんですか?急に」と周りの人から怪訝な顔をされたり。
でも慣れてしまえば何のことはありません。
1週間もあれば、違和感なく「陰褒め」を口にすることができるようになれますので、まずは「言ってみる」ことから始めてみましょう。

次にステップ2ですが、その前に一言。
実は「陰褒め」のステップ2ですが、「陰褒め」がマイナスに働いてしまうケースがあるのです。
それは、目上の人や上司に対しての「陰褒め」です。
「A課長は、大したもんだよね」とか「Bさんは、よくやっているよね」と部下や後輩から陰で言われていると耳にしたら、カチンときてしまう上司もいるでしょう。
「褒める」というのは、上の者が下の者に対して使うもので、「上から目線」の要素が含まれていますから、部下が上司を褒めると失礼なこととなってしまい、上司との関係が逆に悪化して仕事に支障をきたす、などということにもなりかねません。
それでは、目上の人に対しての「陰褒め」はどうすればよいか?
それは「気持ちを言葉にする」ことです。
たとえば、シンプルな表現として「○○なところが、すごいと思う」とか、「勉強になる」などです。
ほかにも気持ちを言葉にする言い回しをいくつも思いつくでしょう。
「尊敬している」「あやかりたい」「感謝している」等々。
こうすることによって、上から目線の要素を取り除くことができます。
これもステップ1と同様に、少し慣れてしまえばそんなに難しくなく使えるようになります。

最後のステップ3は、「本心を込める」ということです。
仕事ができる人には、ゴマすりをしてくる人がたくさん近寄ってきます。
仕事ができる人はゴマをすられる経験値が高いとも言えます。
ですから、ウソを見抜く目も養われているのです。
これは「陰褒め」に対しても例外ではありません。
単なるご機嫌とりのための「陰褒め」は簡単に見抜かれてしまうでしょう。
逆にいえば、本音から生まれた「陰褒め」なら、きちんと伝わるということです。
ステップ1と2に比べると、ステップ3はやや難しく感じる方もいるかもしれませんね。
でも、本音を言葉にするだけでよいのですから、本当はそんなに難しいわけではありません。
「実のところ、良いところが見つからない」ということでしたら、無理して「陰褒め」をすることはありません。
誰かの長所が見つかったときが来たら、そのときに言葉にすればいいのです。

見る目が養われ、笑顔も増える

さて、今月ご紹介させていただいた「陰褒め」ですが、これができるようになると、人の良いところを見る習慣が身につきます。
これだけでも職場の人間関係にプラスになりますね。
さらに、たとえば自社の商品やサービスに対しても良いところを見抜く癖ができますので、会社の売上アップにも少なからず貢献できるでしょう。
他社製品のセールスポイントも見抜けるようになっているので、冷静に評価でき、自社製品の改善策を講じることもできます。
また仕事上、ピンチの事態になってしまった時でも、活路を見出そうとする目も養われます。
このように「陰褒め」の効果はたくさんあります。
そして何と言っても、長所を見抜くのが上手になると、自然と笑顔が増えるようになります。
今日から「陰褒め」の習慣の第一歩を踏み出してみませんか?

目次